本編 第八十六話<小説:スマブラTOP
第八十六話
最後に当てるのどの女性?
スーとの話を切りのいいところで切り上げ、ナナ達のいるところまで戻ってきたロイは、ナナのにっこりという笑顔に何かを感じずにはいられなかった。
「……で、次は?」
その笑顔に気づかない振りをして、ロイはそう問いかける。ゼルダがうーんと、と考えながら周りを見回していると、ナナが一言でこう切り出した。
「次の必要はないでしょ?」
それに『え?』と驚くのはゼルダ、プリン、そしてサムス。ロイは呆れが入った溜息を漏らした。
「だってもう、答え見つかったんだしー。ね、ネス?」
「うん」
いつもの笑顔のまま、ナナに聞かれて正直に答えるネス。そこも素直に言うなよ、とロイは心の中で突っ込んだ。
「分かったんでしか!?」
「そんなぁ……」
プリンは驚いた様子を見せ、ゼルダは不安そうな顔つきを作る。サムスは無言で、先ほどロイと話していた女性達を見回していた。
「……このタイミングって事は」
呟くようにそう言ってから、サムスはネスを見た。視線が合ったその相手は、にこっと笑顔を浮かべて頷く。
それを見たプリンが、少し悔しそうに口を開いた。
「その様子じゃ、サムスしゃんも分かったって感じでしね」
「えっ」
先ほどと同じように、ゼルダが困ったような顔でサムスを見た。その視線を向けられた相手は、ふぅ、と小さくため息をつく。
「ここまでくれば、消去法で分かるでしょ」
やれやれ、と言う様子を見せているサムスに、だがゼルダやプリンは真剣そのものだった。
そこまでむきにならなくても、と思うのはロイである。
「じゃあ彼女で当たりだったんだ〜♪ ねぇねぇ、なんで彼女なの?」
ロイの元に、楽しそうな表情でそう言い寄ってきたのはナナだった。ロイはそれを見て、あのなぁ、と困った表情を見せる。
「人が分かったんなら、もういいだろ? そんな人のことに首突っ込むなよ」
「今さらじゃない〜。ねね、どこが好きなの?」
だがやはりナナの行動が止まるはずはなかった。ロイはただ呆れるばかりである。
「こういう風に話してると、うっかり口を滑らせてヒントとか言いそうだからなぁ、お前」
まだ分かってない人もいるんだし、と言うと、ナナは不満そうにむくれた。
「まぁね。話してたらうっかり言うし」
と、唐突に口を挟んだのはネスだった。ロイとナナは同時に彼のほうを向き、直後ロイはほらな、という目でナナを見る。
「むー……」
「ま、言うとしても考えてる人が全員分かってからだな。……あんま言いたくねぇけど」
そう言われ、ナナは視線をゼルダとプリンに移した。その二人はサムスから消去法と言われて、今までの様子を考えているらしい。
「もう、何で分かんないのっ!」
不満そうにそう言うナナに、無理言うなよ、とロイは思った。




「プリ!」
パッと明るい声で彼女がそう言った事で、ネスはくすっと笑顔を見せ、ゼルダは驚いた様子を見せた。
「もしかして、……分かったの?」
そう言うゼルダはどこか不安そうである。『ぷ〜りっ』と嬉しそうなプリンと対照的なその様子を見て、ロイは小さく苦笑した。
「ゼルダ姫? 罰ゲームってのは冗談だからな、そんなに気にしなくてもいいんだぜ?」
「え、そ、そう? それなら、良いんだけど……」
ぎこちない笑みを見せるゼルダ。プリンはネスに自分の予想が当たっているかどうかを尋ねてから、未だ答えが分かっていない人物へとこう告げた。
「さっきサムスしゃんが『消去法で分かる』って言ってたでしけど、プリンは『消去法が一番分かりやすい』と思うでしよ」
その発言を聞き、サムスが小さく笑う。なんだよ、とロイがムッとした顔を作ったが、サムスは微笑を崩さなかった。
「一番意外そうな相手だもの。プリンがそう言うのも無理ないわね、って」
「……悪かったな」
「別に悪いとは言ってないけどー?」
からかうように言うのはナナ。ロイはやはり呆れたような困ったような顔をするばかりだった。
やがて、しばらく考えていたらしいゼルダが思った名を口にする。
「……スーさん?」
ロイの方を見て言われたそれに、だがロイは、『あー……』とぎこちなく顔をそらすのみだった。
それを見てネスがくすくすと笑う。
「まぁ、ロイ君のこの反応が答えだよね」
当たった事に、ゼルダは少し安心したように微笑んだ。やっと分かった? と頃合いを見てピーチが近づいてくる。
そういえば、とばかりに、ナナがピーチに近づいた。
「なんでピーチはそんなにすぐに分かったの? あのスーって人としゃべってる時も、ロイ君に違いは特に無かったと思うんだけどー……」
それを聞き、ピーチはロイを一瞬見る。ロイは目が合うと、嫌そうな顔をしてわざとらしくそれを外した。
ネスは、そんなロイに近づいて、他の者に聞こえないように小声で言う。
「でも、ロイ君自身分かってないでしょ? 色んな意味で意外だと思うよ」
(……どーいう意味だよ)
にこにこ、と相変わらず楽しそうにしているネスを、ロイは胡散臭い目で見ていた。
だが実際どうしてなのかは気になるため、本人もさり気なくピーチの発言を待つ。
ピーチはロイに気づかない様子で言った。
「ロイは、誰にでも気を遣うでしょ?」
一瞬、ロイは誰がそんな発言をしたのかと思った。
ピーチはマルスのことを気に入っていても、自分のことはそれほど気に入ってはいないはずだ、と記憶していたからである。
ナナやそれを聞いていたゼルダも、少し意外そうだった。そうね、とゼルダが肯定を返す。
「そんなロイが、久々に会ったっていうのに一言声を掛けただけで通り過ぎるなんてこと、滅多にないと思ったのよ」
口調云々の話じゃなくってね、と楽しそうに話すピーチ。言われてみればたしかにそうなのかも、とゼルダやナナも思った。
「しかも内容も相手のことじゃなくって、自分のこと。特に、見たこともないカービィのことを突然言われたって、普通は戸惑うだけでしょう?」
ロイはあからさまにピーチに背を向けた。が、ナナやゼルダなどはピーチの話に興味が向いているらしく、この行動には気づいていない。
気づいて笑っているのはやはりネスのみだった。
「そういえば……。一言だけだったから、カービィの説明すらないし」
「でしょ? そんな行動が取れるのだから、よほど相手を信頼しているのねと思ったのよ。ねぇ、ロイ?」
急に話を振られ、ロイははたから見ても分かるほどビクッと肩を振るわせた。ピーチの台詞と共に視線をこちらに移していたナナ、ゼルダやサムスなどは、その意味が分からず疑問符を出す。
ピーチもネスと同じようにくすくすと笑っていた。
背中のほうからそのピーチの小さな笑い声が聞こえて、ロイはハァと頭を押さえる。
「新手の嫌がらせか……?」
「? ロイ君?」
後ろを向いたロイの顔が気になり、ナナが覗き込むようにして見る。その彼の顔は彼にしてはものすごく赤かった。
ナナにしっかりそれを見られてから、ロイはナナの視線を避けるように反対側へと顔を背ける。が、そちら側にはすでにサムスがいた。
「あれー、ロイ君顔赤いよー?」
「ちょっ、バッ言うな!」
現状を理解したナナが、面白がって言う。ロイはナナの頭をペシッと軽く手ではたいた。
ゼルダも状況が分かるとふふふと微笑を漏らす。
「……なんだ、照れてるだけなのね」
サムスがぽつりと呟いた言葉に、ピーチもネスも頷いた。



そんなわけでネタばらしでした〜。(何
ロイは他人の事を褒めるのは楽だけど、自分の事を褒められるのは恥ずかしくなってしまうのです(何。
さて、それじゃあもう帰りますかね。(ぇ

平成18年9月10日UP


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最終更新:12:01 2006/09/24




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