本編 第七十五話<小説:スマブラTOP
第七十五話
昨日はあの子で、今日は彼!?
Time Up!

その声が響いた直後、最も喜んだ様子を表したのはカービィだった。
他の二人が拍手を送っているのを見て、ポーラも同じようにする。
「カービィ、強いのね。おめでとう!」
その言葉にカービィはわあいと喜んだ後、ポーラの方をむいて笑顔になった。
「でも、ポーラも二位だよー! ポーラも強いんだね♪」
彼の一言で他二人の拍手も止まり、ポーラに視線が移る。ロイは悔しいような残念そうな苦笑いをしていた。
「あーあ、もう少しだと思ったんだけどなぁ」
「ロイ君PKフリーズで沢山凍ってたよねぇ」
くすくすと楽しそうに笑うのはネス。ロイは『うるせぇ』とネスの頭を軽く叩いた。
その様子に、カービィとポーラも笑う。それが止まると、ネスは観客席のほうに視線を向けた。
「それじゃ、順番待ちの人もいるから、僕とロイ君は交代ね」
「えっ、俺も!?」
何気なく言ったネスの言葉に、ロイは心底嫌そうな顔をする。その様子にポーラはカービィと目を合わせてから笑った。
「だって一位どころか三位だもん。悔しかったら次は勝たなきゃね」
もっともなその発言に、ロイの表情が不満に変わる。それとうって変わってカービィは、次の乱闘にも参加できることを楽しみにしているようだった。
「とりあえず、メンバー交代もするし、あっちに戻ろっか」
ネスの言葉に、一同は頷いた。




「強かったな、ポーラも」
戻ってすぐにそう声を掛けたのは、フォックスだった。
意外な発言に言われた本人は少し驚くが、すぐに笑顔で感謝の言葉を伝える。
ネスはさっそくプーの側に移動しているようだった。
「乱闘とは、あんな感じなのか? 随分と楽しそうだったが」
「うん、あんな感じだよ。乱闘って言っても、ケンカじゃないし。ここの人にとっては遊びの一部みたいだから」
そう言うネスの顔は満面の笑顔である。先ほどの乱闘のときとの表情の違いに、ロイはやっぱり慣れないなと思った。
「ネスさんの様子、本当に全く違うんですね」
そのとき、緑衣の剣士のそんな声が聞こえたので、ロイは半分驚いてそちらを見る。
リンクはそのロイの行動の意味が分からないようだった。
「あれ? 乱闘ちょうど終わったの?」
唐突に聞こえた声に、この場にいたほとんどがそちらを見た。その視線の先には、ピンク色の防寒着を着ている少女の姿がある。
「ナーちゃん、ポーちゃん! 二人も乱闘するのー?」
アイクラの二人の姿が確認されると、カービィは飛び跳ねるようにそちらに移動した。
そのカービィと同じように、先に来ていたピチューもナナの近くに寄る。
そしてナナにしか聞こえないような小声で、こう尋ねた。
「ジェフしゃんに聞くのはもう終わったんでちゅか?」
「うん、まぁね」
少し呆れたような笑顔を見せるナナに、ピチューは首を傾げる。
だが、再び何かを聞く前に別の人物の声が聞こえてきていた。
「ここに来たってことは、ナナも乱闘するつもりなんだろ?」
ロイの声に、ナナは顔を上げてニィと笑顔を作り、もちろんと答える。
「おい、俺もやるつもりだぞ。忘れてないよな」
「僕だって! カービィに連続一位は取らせないよー!」
フォックスやピカチュウなど、数人の声が聞こえて、リンクは小さく笑う。
「これでは誰が出るか決まりませんよ。妥当なところで……ジャンケンでもしましょうか」
その発言にマルスが(……なんて適当な)と思っていたことは、本人は知らない。






その後も様々な乱闘を繰り返していると、あっという間に夕食の時間になった。
ということはすなわち、ネスの友人達の帰る時刻である。
その三人が玄関に出ると、見送りをする者は多かった。
「乱闘楽しかったな! また来いよー」
「あの変身のしかた、今度教えてねー♪」
各々が自由にそう言っている頃、ネスは淋しそうな笑顔でプーを見つめていた。
「またいつでも来てね。会えてとっても嬉しかった」
「ああ。……ネスも、元気でな」
ネスが手を振ると、相手の三人も同じように手を振る。
三人の姿が見えなくなるまで、ネスはそちらを見つめていた。
やがて友人の気配が消えた頃、背後で人が部屋に戻っているのを見ながらロイはネスに言う。
「しかし、随分様子が変わるもんだな〜、お前も。あんなに元気になるとは思わなかったぜ」
戻ろうぜ、と身体で表しながら言うロイに、ネスはそちらを向いて、普段通りに薄い笑顔を見せた。
「うん、ロイ君とは対照的にね」
笑顔で軽く言ったその一言に、ロイの表情が微妙な笑顔のまま凍りついた。その様子を、ナナが目ざとく気づく。
「えっ、ネス、それどういう意味ー?」
何も裏を含んでいないような声色で、前を歩いていたカービィが後ろを振り向きながら尋ねた。
それにロイは突然慌てだす。ネスは何も気にしていないと言った様子であっさりと答えを口にした。
「変わったときの態度が、僕と全然違うんだよ。好きな人を前にし――」
「おいネス、ななな何言ってんだよ!?」
突然、ネスの声を掻き消すように大声を出したロイを不思議がり、先を歩いていた者の数人が振り返る。
ロイは何事も無かったように硬い笑顔を作るが、ナナはそんなロイを見ながら、にぃー……というように笑みを作っていた。
「ロイ、どうかしたの?」
「な、何でもねぇっ!」
ゼルダが普通の表情で聞いた言葉に、ロイは普通を装って応えた。だがやはり無理があるらしく、その様子にリンクが不思議そうな顔を作る。
「何でもないようには見えませんけど?」
「何でもなくていいんだよっ!」
この返事に、『それは返答になってませんよ』とリンクは呆れた笑みを浮かべた。
ロイは睨むようにネスを見る。が、その相手はくすくすと小さく笑っているのみだった。
「ネっス〜……?」
「ほら、怒ってる顔ばっかり彼女に見せるつもり?」
「なっ……」
その一言で、ナナの目が獲物を狙う動物のようにきらんと光る。
ゼルダは会話が理解できていない様子を隠す事なく、こう聞いてきた。
「? 彼女って?」
「気にしなくていい!」
珍しく必死な様子を見せるロイに、今度はリンクが笑う。
「ロイさん、そういう風に隠すと余計気にしてしまうものですよ」
「んなこと言われたってな……」
「まぁ、すでに手遅れのような気がしますが」
楽しそうな顔を変える事なく、リンクはそう言った。
だがその意味がロイには分からない。
「は? 何――」
が、と言おうとした瞬間、ロイはにっこりと満面の笑みを見せている人物と目が合った。
そしてその直後、リンクの言いたい事が理解できたらしい。
ロイはぐったりとした表情で、大きくため息をついた。
「あれ? どうしたの、ロイ君♪」
目が合った人物、ナナは、それはそれは嬉しそうな顔だったらしい。


ナナの興味の対象になった場合、ろくな事にならない。
それはすでに住人の大半が知っている事実だった。



なんだか埒が明かなそうだったので、楽しみにしてた皆様には申し訳ありませんが強制終了させてしまいました。(殴
埒が明かないというか、このままでは続けられなそうだったので。
MOTHER2は一回クリアしたのみですが、FE封印だったら二回はクリアしてますー(何。

平成18年3月26日UP


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最終更新:17:54 2006/07/09




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