本編 第七十一話<小説:スマブラTOP
第七十一話
あらら、事態は急展開!?
その日の夕食。
「ねぇ、みんな!」
普段言わないような大きめの声だったためか、その一言に辺りは急に静かになった。
そして皆の視線が注がれている人物は、普段と変わらないような笑みをしている。
その人物――ネスがそのように声を出すことは滅多になかったため、もしかして怒っているのか、とナナは内心どきりとした。
「どうした? ネス」
近くの席だったフォックスが、彼にそうたずねる。するとネスはそちらを向いて、にこ、といつもより嬉しそうな笑顔を見せた。
「先に連絡しておこうと思って」
その意味深な言葉に、さらにナナはどきっとする。ほとんどのメンバーは気づいていないようだったが、長年共に連れ添ってきたポポは自業自得とばかりに知らないフリをしていた。
「なんだよ、連絡って?」
内容に興味があるのか、フォックスの次にはロイが先を促す。ネスはまたもその人物の方を向き、そしてさらに嬉しそうな顔をした。
その様子に、ピチューがふとある事を思う。
「明日、僕の友達が遊びに来る事になったから」
ネスのこの一言に、ナナとピカチュウとプリンは、ぴたっと硬直した。
ピチューが納得したように頷いているのとは対称的に、カービィはぱぁっと表情を明るくする。
「ネスの友達ー!? だれだれー!?」
身をテーブルの上に乗り出しながら言うカービィを、マルスがなだめた。
ピカチュウとプリンは、さり気なくを装いながらその友達とやらを気にしてネスのほうを見る。
「あぁ、共に地球を守る旅に出ていたという人達ですか?」
リンクが言うと、ネスはうん、と笑顔のまま頷いた。それにナナの目がきらんと光る。
「それにしても、どうして急に? 何か用事でもあったのかい?」
今度発言したのはマルス。ネスはううん、と首を横に振った。
「ポーラが、久しぶりに顔見たいからって、みんなを呼んでたみたいなんだ。さっき明日来るって電話あったから」
そういえばさっき電話してたの見たな、とファルコが思っている頃、その言葉にふとサムスは違和感を覚えた。
「ネスの友達なら、テレパシーで会話が出来るんじゃなかったの? なんでわざわざ電話で」
マルスやロイもごもっともだと思うその発言に、ネスはまぁねと笑って答える。
「僕がいっつもミュウツーと話してるから、テレパシーじゃ話しづらいんだってさ」
そう言い、ネスはミュウツーのほうを見る。ミュウツーは興味のなさそうにフンと視線をそらした。
「ねー、そのポーラって子、女の子?」
席はそれなりに離れているというのに、声を大きくしてネスにそう尋ねるのは子供姿のリンク。
その隣では大人のリンクが、何を聞いているのやらと呆れたような苦笑をしていた。
ネスはそれにくすっと笑って、そうだよと答える。
「え、女の子!? 可愛い?」
「うーん、どっちかって言えば可愛い方だと思うな」
だよね、とミュウツーのほうを向くネス。だがミュウツーは『私に聞くな』と言わんばかりに眉の辺りを寄せるのみだった。
「(ミュウツーに聞いても分からないでしょ)」
その隣のミスターが、呟くようにさり気なくそうツッコむ。その後、『自分に聞いても分からないけどね』と彼はまたもさり気なく追加していた。
「ねぇ、他にはどんな人が来るの?」
と、そうたずねるのはナナ。ポポは少し呆れたような横目で彼女を見た。
だが、ネスはナナを見てニッコリ笑って、こう答える。
「来れば分かるよ」
しまった、とナナが後悔したとき、ネスは面倒だとよくそうやって省くよな、とロイも思った。
「いつごろ来ますか? 食事が必要なら、先に作っておかなければいけませんけど……」
「あぁ、大丈夫。迷惑にならないように、お昼過ぎ頃来て夕食前には帰るって言ってたから」
あっさりとそう言うネスに、そうですかとリンクは安心した素振りを見せた。
「でも、こっちが大勢で迎えるのも少し迷惑じゃないかしら? 来るって言っても、そんなに大勢ではないんでしょう?」
少し不安そうにそう言うのは、ゼルダ。ネスはそちらを見て、ううんと少し楽しそうに首を振った。
「色んな人がいるって知ってるから、どんな人と会えるのか楽しみにしてると思うよ。来るのは三人だけだけど」
三人、という言葉にピチューの耳がぴくりと反応する。
「ネスがお友達と会うのも、久々かしら?」
ピーチがたずねた言葉に、ネスはうんと笑顔で頷いた。
「久しぶりだから、僕も会えるの楽しみにしてるんだ。早く明日にならないかなぁ」
そう言うネスは、夢を見ているかのように微笑んだまま、少し上の方を眺めている。
それがあまりにも普段とかけ離れているため、そう呟いたネスを見ていた数人は意外そうに呆然とその様子を眺めていた。
ナナやプリンなど、ネスのママに話を聞いていた者たちもやはり驚いているようである。
「聞いた話は本当かもしれまちぇんね……」
ピチューが兄の隣でぼそりと言った言葉に、ピカチュウは深く頷いた。





そして次の日。
昼食が終わり、各々が好きな事をし始める時間帯、広間に集まってきた人数は普段より相当に多かった。
目的は言うまでもなく、今日やってくるというネスの友達を見るためである。
その中には当然のように、ナナ、ピカチュウ、プリン、ピチュー、カービィの五人の姿があった。
「で、ネス。その友達っていつごろ来るんだ?」
そう言ったのはロイ。ネスはうーんと考えるような様子をした後、一呼吸おいてこう答えた。
「もうそろそろ来るみたいだよ。今こっちに向かってるって言ってたから」
そう答えるネスの顔が普段よりも輝きに満ち溢れているような感じがして、マルスは小さく苦笑した。
ロイは単純に、ネスの友達がどんな人物かというのが楽しみであるらしい。
他にも待つメンバーにはマリオやルイージ、フォックスやリンク、子供リンクなど様々な者がいる。
来るまではしばらく雑談などをしていたが、そのうちチャイムが押される音がした。

ピーンポーン……

音を聞くと、ネスはダッと立ち上がって、普段では考えられないようなスピードで玄関の方へと走り出した。
その行動に驚くのは他のメンバーである。ロイやナナなどはそのネスを追いかけるように、少し遅れて玄関のほうへ向かった。
さらにつられるように、他の子供達もついていく。
そうしてロイが玄関にたどり着いた時、その扉は開かれ奥には金髪の少女の姿が見えた。
が、先に走ってきたはずのネスの姿は、家の中からでは見えない。ということは、既に外に出てしまったというのだろうか。
家の外である横のほうを見ている少女は、ロイに気づいたらしく視線をこちらに向ける。
ロイもそちらを見ていたため目が合うと、金髪の少女はにっこりと笑みを浮かべ、こちらへと話しかけた。
「初めまして、遊びに来ました。ネスの友達のポーラです」
話しかけられたロイの横に、ナナも顔を出す。ナナも先ほどのロイと同じく、ネスの姿が見当たらないのを不思議に思った。
「あれ、ネスは?」
そうロイが呟くように言うと、そのポーラという少女は呆れたような顔をして、自分の横、屋敷の中からの死角の方を見た。
「ほら、ネス! いつまでも抱きついてないで案内してよ!」
その言葉に、ナナは硬直した。



というわけで、MOTHER2ネタは今しばらく続きます。(何
ネスの妙さを出来るだけ表したかったんですが、果たして表すことができたのかどうか。(何
世の中のMOTHER2好きな方、どうかキャラの性格が変でも許してやって下さいね(爆)。

平成18年1月22日UP


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最終更新:17:53 2006/07/09




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