本編 第六十九話<小説:スマブラTOP
第六十九話
目的地はどこにある?
「「ご馳走様でした!」」
声をそろえてそう言うと、カービィとピカチュウは我先にと食器を厨房の方へと持っていった。
ちなみに屋敷では、食事の準備や食器洗いなどは当番がするが、食後の皿を厨房へと持っていくのは各自の仕事となっている。
当番の仕事量を減らすため、リンクやフォックス、マリオなどが昔考えた仕組みらしい。そのこと自体は大した労働でもないが、それが屋敷の住人全員分となれば一人二人でやるのは大変だったからだ。
厨房へと行っていた二匹が先ほどと同じように駆け足で食堂へと戻ってくるのを見て、ゼルダが小さく笑いながら声を掛けた。
「二人とも、食堂で走らないの。ほこりが立つでしょう?」
広間や外へ行くには、屋敷の構造上厨房から一旦食堂へと戻らなければならないのだ。
言われて、二匹ともに一旦立ち止まる。が、次の瞬間には先ほどより少し遅い速度で走りだした。
二匹曰く、早歩きのつもりらしい。
「ピカチュウ、今日はかけっこして遊ぼ!」
「よーし、負けないよ? どこでする!?」
いつもより対応がいいピカチュウに、フォックスがふと『今日は機嫌が良いのか』と思った。普段の彼なら、もっとケンカ腰であった気がする。
ピカチュウの芝居がぎこちないためそうなっているだけなのだが、そんな事は全く知らないフォックスにはそう見えたらしい。
「ピカ兄ちゃん、待ってでちゅ! ピチューも行くでちゅ〜」
その明るい声に、ピカチュウの足が止まり、つられるようにカービィの足も止まった。ピチューは今しがた二匹が片付けた食器を今から片付けに行くところらしい。
が、ピチューが食器を口にくわえて運んでいく姿は、傍目には可愛らしいがいささか危なっかしい。
事実、過去にも彼の存在に気づかなかったクッパにぶつかって一枚割ったこともある。
そうして持っていくピチューの食器を、上からひょいと取り上げる者がいた。
マルスである。
「僕が自分の分と一緒に持っていくから、遊んできていいよ。あまり遅くならないようにね」
そう言いながら、マルスは未だ食べ物の乗っている自分の食器の隣にそれを置いた。
ピチューはその行動と意味を理解してから、嬉しそうに笑みをこぼす。
「ありがとうでちゅ♪」
そして、弟が来るのを待っていたピカチュウのほうへと駆け出した。弟が追いついたのを確認してから、ピカチュウ、そしてカービィが外へと走っていく。
やがてその足音が聞こえなくなった頃、リンクがゼルダのほうを向いてくすっと笑った。
「ゼルダ姫が注意できる事でもありませんけどね」
「なっ……ちょっとリンク!」
その言葉の意味を察し、ゼルダが頬を赤く染めながら強く言った。
幼い頃のゼルダは、相当なおてんばだったらしい。
「でも僕が注意できる事でもないけどね、大人の僕?」
小さな緑衣の剣士が言った言葉に、同じ服装の人物がそうですね、と笑った。
「リン君も昔はああだったの?」
ポポの問いかけに、子供リンクは少し考える素振りをする。そのどちらも、食器の上の食べ物は残り少なかった。
「昔っていうか、コキリの森に居たときはね。森の妖精とかも好きなように飛び回ってたし」
そうなんだ、と相槌を打つポポ。その側を食器を片付けたらしいプリンが通ったとき、ふと彼は声を掛けた。
「プリンはこれからどうするの?」
「プリンでしか? プリンは歌の練習でし♪ 毎日練習しないと良い歌は歌えないでしからね!」
その答えに、ポポと子供リンク、それからナナも呆れた顔をする。
そうして楽しげに歩いていくプリンの後姿を眺めながら、ナナが呟いた。
「それじゃ、私はどうしようかな……」
「ナナちゃんは暇?」
子供リンクにそう問いかけられ、ナナはどきりとした。
「んー、なんで?」
「え? ネス君とポポ君と一緒にゲームする予定だったんだけど、ナナちゃんもどうかなと思って。どうかしたの?」
その質問が意外だったのか、子供リンクがまたも問いかける。ナナがそれに何か答える前に、ふと思い出したようにポポが口を開いた。
「ナナ、そういえば昨日、新しい防寒着の広告見つけたんだけど……」
「え、そうなの!?」
大げさなほどに驚いた様子を見せるナナに、子供リンクは少し首をかしげた。
それに気づいたポポが苦笑しながら子供リンクのほうを見る。
「ナナの服、こないだの乱闘でちょっと悪くなっちゃってさ。見てくる?」
「勿論でしょ!? 早速行かなきゃ♪ ありがとねポポ!」
そう言いながら、ナナは右手を握りガッツポーズを作る。その様子と、その仕草に秘められた意味に気づき、ポポは苦笑を見せた。
(全く、なんでわざわざ助けなきゃなんないのか……)
子供リンクは普通に、残念そうな顔をしていた。




「ごめーん、遅くなっちゃって!」
ナナが普段オネットで乱闘に使っているところに行くと、そこにはすでに他の四匹が集まっていた。
「プリ、待ったでしよー」
不満そうなプリンに、『ごめんってば』とナナはもう一度謝る。
活動するためにはまず集合しなきゃねと昨日の夜ナナが言っていたので、それまではただ待つだけだったらしい。
「それじゃ、ネスの家探そっか! 分かるのは町外れにあるって事だけだよね」
おー、と元気良く声を出すカービィやピカチュウを見ながら、ピチューがポツリと呟いた。
「でも、どうやって調べまちゅか?」
その言葉に、他四人の視線が集まる。ピチューは当たり前のように首をかしげた。
「皆で一斉にネスしゃんのこと聞いたら、変でちゅ……」
そう言いながら、不安そうに彼は目を潤ませる。
確かにそうかも、とナナが思ったとき、だがそれとは対称的にカービィがぽよんと軽く飛び跳ねた。
「だいじょぶだよ、ネスなんだもん!」
その理由にならない理由を挙げるカービィに、ピチューは呆れたように目を見開いた。



「ね、だいじょぶだったでしょ♪」
結果論のみを言えば、カービィの言い分はもっともだった。
というのも、道行く人のほとんどがネスを知っていて、かつ親切にもネスの家までの道のりを教えてくれた人がいたからである。
その様子にカービィは笑顔だったが、ナナやピチューは驚きで呆れ返っているようだった。
「いくらなんでも、皆が知ってるっていうのはおかしいんじゃないの……?」
「だって、ネスだもん♪」
相変わらず簡単に言うカービィに、ピカチュウが呆れた目を向ける。
だがその謎が解けるはずもなく、そうこうしているうちに一同はネスの家らしき場所へと辿り着いた。
隣に一軒だけある大きな家と見比べてしまうせいか、その家は随分とみすぼらしく見えてしまうが、傍目には普通の家である。
まるでそれはネスの外見が普通の少年であることを象徴しているかようだった。
「さすがネスしゃんの家でちゅね……」
「さっさと行くでしよ!」
そう言いながら、プリンはずかずかとその家の敷地内へと入る。
ナナがその行動に静止をかける前に、彼女はその扉をこんこん、と叩いた。
「プリンが目の前にいたら、びっくりするんじゃないの!?」
扉の奥に聞こえないよう声を潜めて、だがナナはプリンに駆け足で近づきながらそう言った。
他の三匹もそれについてくる。
「そうでしか?」
そう言いながらプリンが振り返った時、その扉はがちゃんと音を立てて開かれた。
そして――

「はいはいはい、どちら様?」

そう言いながら扉を開けてプリン達の前に現れたのは、短い金髪でピンク色の服を着ている、微笑をたたえた女性だった。
扉を開けられたことで、プリンや他の者の視線がまたそちらへと戻る。
ナナが何か言うよりも先に、その女性はプリンを見て。
「まぁ可愛い! あなた、どこの子?」
その言葉と共に、プリンの頭を撫でた。



彼女の性格がきちんと書けるか不安です。というか多分書けないと思います(爆。
精一杯頑張りますから、何か変でも目をつぶってやってください……
ってかそれは次の更新のときの話ですね。(何

平成17年12月25日UP


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最終更新:17:53 2006/07/09




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