本編 第六十八話<小説:スマブラTOP
第六十八話
作戦会議そのに!
それが五人だけのヒミツでなくなるのは、意外とあっけなかった。
「ナナ、何してるの?」
「あ、ポポ……」
夕食後、集合をかけようとしたナナにポポがそう聞いてきたからである。
相棒が『何でもない!』と強く答えると、ポポはその相手をじぃーっと見つめた。



そんなこんなで現在位置はプリンの部屋。
部屋の主が乙女思考で部屋の中を覗かれるのが嫌だと常日頃思っているので、秘密を要する時には逆に丁度良いのである。
プリンのその性格を知って、屋敷の人々もほとんど彼女の部屋には入ろうとしなかった。
そんな部屋に、今は六つの人影がある。
「ごめん!」
調査隊隊長であるはずのナナは、他の四匹に対してそう言いながら頭を下げた。
その隣には、呆れた表情をしているポポの姿がある。
「ポポしゃんにばらしてしまったんでちゅね……」
「隊長でもちゃんと罰則は無いと駄目でしよ!」
不満そうな様子を見せるピチューやプリン。
顔を上げたナナは、当然だよと言わんばかりに強い意志を示していた。
「罰則は、私の一週間のおやつ代を調査隊の資金にする、ってことでいい? 文句ある人は手を上げて!」
ナナの声が終わった後も、手を上げる人は見られなかった。その様子にほっと胸を撫で下ろすナナに、ポポが声を掛ける。
「随分と本格的なんだねー……」
「当たり前でしょ! やるからにはしっかりやんないとね!」
そうじゃないと隊長の任にはつけないよ、と言うナナに、ポポは呆れたような笑みを見せる。
「それで、ポーちゃんはどうするの? 調査隊、入るの?」
カービィがそう言うと、ポポはそちらを向いて首を小さく横に振った。
「入らないんでしか?」
「ネス君に悪いと思うし、多分僕も参加してたらリン君も気づくと思うからね。今のナナの様子を見ると、出来るだけ知ってる人は少ないほうがいいんでしょ?」
ポポがあっさり言ったそれに、ナナは『まぁね』と同意した。
「じゃあ、この事他の人に言わないって約束できるの?」
ピカチュウが睨みつけるような表情でポポに問う。その様子にポポは真剣だなぁ、と小さく苦笑した。
「言わないよ。ここにいる皆から集中攻撃喰らうのは避けたいし」
苦笑しながらポポはそう言ったが、カービィやプリンなどはふぅん、と小さな反応を返すのみだった。
それじゃあ、とナナはポポのほうを向く。
「ポポもここにいると妙に思われるかもしれないから、今はもう出てってね!」
「ナナ。その言い方は酷いよ、もう」
相棒をなだめるように、ポポは苦笑いしながらそう言った。そして、言われたとおりに部屋の出入り口のほうへと歩く。
「頑張ってね、とは言えないけど……。まぁ、ほどほどにね? 皆だって隠し事されるのは嫌だろうし」
そう言い残し、彼は部屋から出て行った。
さてと、とナナは仕切りなおす。
「それじゃあまずは、どうやってネス君の家に行くかだけど……」
「ぴちゅ!」
そうナナが言いかけたとき、小さな手と共にピチューが声を上げた。
そのことで、一斉に視線がそちらへと移る。
「みんな一緒にオネットに行ったら、変に思う人もいるんじゃないでちゅか?」
その意見に、ナナはハッとした。プリンとピカチュウもその意見に同意する。
「ん? なにー?」
唯一分かっていない様子のカービィに、ピカチュウは呆れた視線を向けた。
「乱闘するわけでもないのに五人で一気にオネットに行ったら、みんな変に思うでしょ?」
「乱闘するんだと思って来られても迷惑でし」
二匹のポケモンの説明に、カービィは右手を左手にぽん、とつけた。
「これは、秘密に行動するほうが難しいみたいね……。んじゃあ、どうしよっか」
腕を組み、ナナが考える様子を見せる。さほど時をおかず、カービィがはいはい、と元気に手を上げた。
「ボクとピカチュウだったら、追いかけっことかそう言って行くことはできるんじゃないかなー?」
「じゃあ、ピチューはピカ兄ちゃんについていけば平気でちゅ♪」
視線を合わせるピカチュウとカービィの方を向きながら、ピチューが言う。
一通りのことを聞いて、ナナはプリンを見た。
「ぷり〜……。プリンだったら歌の練習するって言えば、誰もついてこないでし」
「それもそうだよね……。じゃあ、私が問題なければ何とかなりそうだね」
それじゃあそれはいいか、とナナは納得する。
「ネスしゃんの家に行っても、収穫はあるんでしか?」
とはプリン。
「ネスの両親はいるんじゃないかな。友達です、って言えば問題ないと思うけど」
とはナナ。
「あ、ボク妹もいるって聞いたことあるよー! アルバイトでだけど働いてるんだってー!」
とはカービィ。
「犬もいるって言ってたよ。大人しくて家族みんなになついてるってボク聞いたことある!」
とはピカチュウ。
「じゃあ、とりあえずネスしゃんちに行って家族から話を聞いてくるんでちゅね」
とはピチュー。
その最後の発言に、他の四人もこくりと頷いた。
「じゃあ、今出来ることはもうないかな……」
ナナが言った言葉に対して、プリンが『あるでしよ!』と強く叫んだ。
「役割分担はどうなるんでしか? みんなそれぞれ得意な事を調べといたほうが良いと思うでし」
それだ! と他の四人も視線を彼女に移す。
「それぞれ得意な事……って言っても、何があるかな? 私、自分のは思い浮かばないんだけど……」
「ナナしゃんはこういうのをまとめるのが上手だとおもいまちゅよ」
ピチューがそう言ったのを聞いて、ナナは『え?』と少し照れがちに応えた。
「そうでしね……。人を引き連れるのが上手いと思うでし」
「じゃあ、隊長でいいんじゃん!」
プリンもピチューと同じような事を言ったのを聞き、カービィがわぁ! と嬉しそうに言った。
「ピカ兄ちゃんは根気がありまちゅよね。いっつも頑張ってて、凄いでちゅ!」
その言葉に、ピカチュウは『もちろん』というように笑顔を見せる。
「じゃあプリンは何があるでし?」
本人がそう言うと、ピチューはそちらを見た後、だが少し悩むような表情を作った。
えーと、と言葉を探しているピチューに苦笑してから、ナナがプリンのほうを見る。
「プリンは強気なところが良いと思うな。押しが弱い男とかもいるし、そういう人を相手にするときとかね」
「そうでしか!」
それが嬉しかったのか、プリンは嬉しそうにぷくぅと少し膨らんだ。
「ボクはー?」
そのプリンと同じような表情で、カービィが自分もと言わんばかりに主張する。ナナやピチューはそちらを見るが、返事はすぐに出ず、うーんと言葉を詰まらせていた。
「カービィはいつでも体力が有り余ってるんじゃない?」
と言うのはピカチュウ。皮肉を込めていたようだが、カービィはそれには気づいていなかった。
「ホントー!? えへへ、沢山遊べるねー♪」
嬉しそうな顔をするカービィに、ピカチュウは呆れた顔をする。その皮肉にピチューは気づいていたようで、ピカチュウに対して苦笑を見せていた。
「ピチューは結構鋭い評価をしたりするよね。しっかり見てる、っていうか」
ナナが言うと、ピチューは小さく驚いたように頬を染めた。声に出さず、嬉しそうに目を細める。
それらが分かった後、改めてナナが声を出した。
「じゃあさ、ピカチュウは地道な情報収集とか、ピチューは推測とかを任務とするってのはどう?」
「プリンは人と交渉をするでし! ナナしゃんは……どうするんでしか?」
「ねぇ、ボクはー!?」
先ほどから似たようなことを言うカービィに、ピカチュウが不満そうな表情を作る。
「カービィ、さっきからそればっかりじゃん! 自分で考えたりとかしないの!?」
突然怒り出したように見えるその黄色い姿に、カービィは驚いて一歩下がる。
それを見かねたナナは、まぁまぁとなだめるようにピカチュウに言った。
「カービィは私と一緒に調査隊の進行を務めようよ。ちゃんと目的を決めれば、がんがん進んでくれそうだしさ」
「うんうん、頑張るー♪」
カービィを保護するようなナナの発言に、ピカチュウはさらに表情を微妙にする。
だが、ピチューが彼ににっこりと笑顔を見せると、ピカチュウはそれでいくらか機嫌を直した。
「じゃ、明日、朝ご飯を食べた後、各自オネットに集合ね! ヒミツの調査隊、出動ー!!」
「「おー!」」「でし!」
プリンの部屋から出たその声に、隣の部屋にいたファルコは一体何なんだよ、と思った。



前回に引き続き、進歩進展がなくてすみません(爆。
セリフばかりで情景描写がほとんどありませんね;;
読み辛くて本当にすみません……;;;(爆

平成17年12月11日UP


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最終更新:17:53 2006/07/09




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