エンパ夢 第九話<夢小説:三國無双TOP
第九話
赤・キャラですか
どのが目を覚ました時から今までの時間を振り返ってみも、どこにも年齢の話は出ていません。
彼女が私の年を知っているというのは、おかしい話ですね。
式の最中も、具体的な年の数は出ていませんし。
それに何より、彼女の口調にはおかしな点がいくつか……。
こちらとしては気になりますが、彼女の機嫌を損ねることだけは避けたいところです。
これは、何とたずねるべきか。




どの」
私が小声でそう呼ぶと、どのはこちらを見て顔に笑みを浮かべました。
「何? 陸遜」
何の疑いもなく応えてくるどのに、私は苦笑を作ります。
彼女は恐らく、控えめな態度を示した方が話してくれますからね。
「言いたくない、または言えないのなら無理にとは言いませんが、少し気になることがあって」
私が言葉を濁しているのが不思議なのか、どのは『言ってみてよ』と先を促しました。
私は小さく息を吐いてから続けます。
どのは……この世界の“人”を、ご存知なのですか?」
驚いた顔か、慌てた顔、もしくは平然とした顔をするかと思ったのですが。
どのは、きょとんとした顔で『人?』と聞き返しました。
この言い方で分かるかと思いましたが、分からないのでは仕方ありませんね。
周瑜どのの言い方、司馬懿どのから人の名を聞いたときなどの例を上げると、どのは今度こそ慌てるそぶりをしました。
「何より、言っていないはずの私の年齢をどのは言い当てましたから」
私がそう言うと、どのは困ったようにため息を一つつきました。この反応……聞き出すのは難しいでしょうか。
「あ、言いたくないのであれば――」
「ううん、別にいいよ」
と思っていたら、どのは自分を変に思わないで欲しいということだけ注意してきました。
その程度、お安い御用です。
『勿論です』と私が笑みを作って見せると、どのは安心したように少し目を細めました。
その後、深呼吸をして、どのはこちらに向き直ります。
話してもらった内容は、何とも不思議なものでした。
どのは以前いた場所で、私が建業にいたり司馬懿どのが洛陽にいたりするという類似世界を見てきたというのですから。
「キャラ自体は同じなんだけど、住んでる所と国が違うって感じかな」
どのは、話している最中に意味の取れない単語を言うときがあります。
この前にも『げーむおーばー』という、物語が終わるといった意味の単語を使っていました。
こういった時、今まで育ってきた世界が違うのだなと感じるものです。
「『キャラ』とは?」
聞くと、どのは驚いた表情を見せました。
「あ、ごめん、この世界の人のこと! 人自身は同じなんだけど国が違うっていう世界をあたしは沢山見てきたのよ」
「なるほど……。それで、“人”を知っていたのですね」
国や住所が違えども、人自身は同じだから知っていたというのですか。
たしかにそれなら、名前を聞くだけで納得できるのも分かります。年齢が分かる理由としては少々納得がいきませんが、恐らく外見から年齢を思い出したのでしょう。
一体何人ほどのことを知っているのかは分かりませんが、それが本当なら――。
「足手まといにならぬだけ増しというものか」
「相変わらず、厳しい判断ですね」

ああ、司馬懿どのは姜維どのと話していたのでしたね。
「貴様や陸遜が言わぬから私が言うだけの事だろう。貴様らは甘すぎる」
内容と今の状態からして話題は恐らくどのでしょうね。
それなら……口を挟んでみましょうか。
「司馬懿どのがそういう事を言って下さるので、私たちは厳しい事を言わずに済んでいるのですけどね」
背を向けている司馬懿どのにそう言うと、彼はほんの少し驚いた様子で振り返りました。
彼が人を褒めることなど、まずありませんからね。どうやら、そういうところで調整が取れているようです。
「え、何? なんの話?」
「いえ、姜維どのが司馬懿どのに厳しいと言っていたのが聞こえたので」
口を挟んだだけ、と言いつつ司馬懿どのを見ると、その意味が理解できたらしく彼は一瞬口元を吊り上げました。
「何でもありませんよ。話をさえぎってしまって、すみません」
どのに向き直りながら言いましたが、彼女の視線はまだ司馬懿どののほうにあります。
「んーん。ところで、あっちの二人は何話してんの?」
「え? ああ、どうやら周瑜どののことのようですが……」
どのの興味はまだあちらにあるようです。姜維どのがあまり怒らせないよう、と言ったとき、どのの目の色が変わりました。
「周瑜は普段冷静だけど火がつくと相当熱くなるから気をつけたほう良いよ〜!」
何度も口を挟まれて嫌気が差したのか、司馬懿どのは少し不機嫌そうにまた振り返りました。すみません、司馬懿どの。
ですが、すぐにある事を察したらしく、どのを見たままの状態で司馬懿どのはこう問いかけます。
「何故貴様がそんなことを知っている?」
疑いの声色で言う司馬懿どのに、私は苦笑いを見せました。当然というか、姜維どのも驚きの表情です。
すでに私に話していたからか、どのはあっさりとした口調で言いました。
「んー、あたしが前にいたとこで、そういうのを知る方法があったから。その方法はちょっと言えないけど」
隠すような言い方をされ、司馬懿どのの眉が寄ります。
その後、どのは40人以上程なら知っている、と続けました。人数は聞いていませんでしたね……。
「あっもちろん、陸遜も姜維も司馬懿もね」
自分の頭を強調するように、どのは頭に手を乗せます。姜維どのは何やら納得したような表情をしました。
「という事は、名乗る必要はなかったということですか」
そのようです、と私が相槌を打った直後、司馬懿どのがどのを呼びました。
「その情報は確かなのだろうな?」
確かにそれは私も気になるところです。言い分を疑うわけではありませんが、それがどのくらい信頼できるのかということで、行動は随分と変わってきます。
どのはなんと答えるべきか、考えている様子を見せていました。
「多分合ってると思うけど、あたしの説明は下手だと思うから肝心なとこは抜けてるかもしれないから」
言い終えると、どのは可愛らしく首を傾け、舌を少し出しました。が、恐らく……。
やはり。司馬懿どのは何事もなかったように、どのを見下ろす目を細くしました。
「なんだそれは。役に立たぬではないか」
言われて、どのは不満があるような目で司馬懿どのを見上げます。
「悪かったねぇ。でもとにかく何かでは役に立ってやるんだから! 天下統一しなきゃ下手すりゃ帰れないかもしれないんだし」
……え?
……ここにいる状態で、どのが『帰る』と言うのなら、それはやはり……。
「天下統一しなければ、帰れない……?」
姜維どのも目を大きく開け、驚いた表情をしています。
「元のいた場所に、という事ですか?
「あー、ごめん今の無しって事で……」
おどけたような様子を見せるどの。ですが、私と同じように姜維どのも視線を外すことはありませんでした。
どのは表情をぎこちなく苦笑に変えます。
「無理? ぃや、と、とにかく推測だからさ、気にしないで。あははは……」
そういう推測だったので、以前にも『天下狙わないと』と大胆な発言をしたのですね。
ということは即ち、天下統一に至ったのちどのはいなくなってしまうかもしれない、とも言えますが――
「それでは、天下統一を成し遂げる時まで、はずっとここにいて下さるのかもしれないという事ですね」
にっこりと笑みを見せて言うと、どのは驚いた顔をし、少し頬に朱を含ませました。
「あー……って、陸遜!? そういう考えになるの!?」
姜維どのも私と同じような判断を下したのか、どのに対し笑顔を作ります。
「それは心強いですね。どのがいて下されば天下統一も狙えるかもしれないというのも、満更でもないように思えます」
「え、姜維!? どっからそういう結論になるの!?」
気恥ずかしかったのか、どのは司馬懿どのを味方につけようと試みます。ですが、司馬懿どのは興味のなさそうに一言で切り捨てました。
「酷いー!」
そっけない司馬懿どのに怒りの動作を見せるどのに、私と姜維どのは目を合わせ、笑いました。



陸遜が偽者のような気がしてなりません。(爆
会話内容はほとんど見たことあると思いますが、まぁ陸遜視点ということで。(何
そろそろ新展開に行きたい所ですねー……。

平成17年11月26日UP


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最終更新:12:01 2006/06/27




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