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適正審査




「あ、ちょーど良いところに!」
パッフェルの高い声に、マグナとトリス、それにつきあっていたロッカとリューグの4人は振り返った。




「あ、パッフェルさん」
「どーしたの? 相変わらず忙しそうだけど」
召喚師二人にそう言われ、パッフェルは『そうなんですよぅ』といつもの明るい声で応え、頷いた。
「商売繁盛はとっても有難いんですけど、そのせいで今も壊滅的に忙しくてー」
その台詞に、トリスは苦笑いをしマグナは冷や汗をたらす。
何のことか分からない双子は何となしにそれを見ていた。
「お二人とも、手伝って下さいよー! もちろんお金も払いますからー!!」
両手を合わせて、顔は笑顔のまま眉をハの字にする彼女らしい表情でパッフェルは言う。
マグナとトリスは顔を見合わせた。それらの顔から読み取れる表情は、『困った』である。
「ネスに、『教科書買ったら必ずすぐに帰って来い』って言われてて……」
「俺達も、手伝ってあげたいのは山々なんだけど……」
そういう二人とそのそばにいる双子の手にあるのは、大きめな紙袋。
中身は全て、召喚術の勉強用の本らしかった。
頭を掻きながらマグナがそう言うが、パッフェルもまだまだ諦めるつもりはないらしい。
「そんな事言わずに、お一人あたりたった2・30件でいいんですからー!」
「2・30件って、『たった』の数じゃないんだけどー」
トリスのツッコミに、だがパッフェルの反応は無かった。
『お願いしますよー!』としぶとく喰らいついてくる相手に、マグナも苦笑し。
「「あっ」」
召喚師二人は同時に閃いた。
そして、自分らの両隣の、お互いとは反対側にいる人物の方を向く。
「ロッカ!」「リューグっ!」
トリスの声にロッカはきょとんとした顔で反応して、マグナが呼ぶとリューグはどこか嫌そうな表情をした。
「あたし達の代わりにパッフェルさんとこ手伝ってくれない??」
「たのむよ、リューグ」
パッフェルの目には、ロッカが微妙な笑顔を見せて、リューグはあからさまに嫌そうな顔を見せているのが見える。
「別に、僕はいいですけど……」
「……どうなっても知らねぇぞ」
「「ありがとー!」」
『助かるよ』『助かるわ』と二人は満面の笑みを見せた。
















後日。
「マグナさーん! トリスさーん! 手伝って下さいよぉ〜!!」
パッフェルは、さぞかし困った様子でそう言ってきた。
それに対して驚くのはその二人である。休もうと思って木に登っていたマグナも、同じ木の根元にいるトリスの近くまで降りてきた。
「どうしたんだ?」
「お二人じゃないと効率が悪くって、困るんですよ〜!」
「ロッカやリューグじゃマズかったの?」
トリスがそう聞くと、相手はブンブンという効果音が似合いそうな勢いで首を縦に振った。
「リューグさんは作業が速くて良いんですけど、愛想が悪いとかケーキの形が崩れてるとか苦情が殺到してましてー……」
「あっちゃぁ……」
「ロッカさんはそれらの点は平気なんですけど、なにぶん作業が遅すぎて能率が悪くなっちゃいましてー……」
「あらら……」
マグナとトリスの顔は同じような表情だった。
「やっぱりお二人じゃないと困りますよー! お願いしますってばー!!」
彼女らしいあの声で、だが今は困っているような様子で話すパッフェルに。
マグナとトリスは渇いた笑いを返すしかなかった。











「だから、どうなっても知らねぇっつっただろ」
「まぁ、確かにこうなりそうだとは思ったが……」








リューグはいいとしてロッカは別に遅くは無いだろう、と兄弟にツッコまれた作品。(爆
過去の作品に手を加えるのは嫌なので、そのままです(何)。
あの二人は両方から長所を取れば凄い人物になりそうですが、短所を取るとダメダメになりそうです(笑

平成17年4月27日UP


サモナイ2

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最終更新:13:06 2006/06/27




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