恋心(KOI−GOKORO)<小説:スマブラTOP
恋心(KOI−GOKORO)
それは、チームバトルをしたときのことだった。
相手のチームはマルスとサムス。仲間にはピーチがいる状態だが、ロイは中々苦戦を強いられていた。
「…っ、なんでこういうチームになっかなぁ…」
厄介なのはマルスである。自分はマルスに勝つほどの剣術を持ち合わせていないし、ピーチの方はマルスに攻撃する気すらなさそうだ。
…いや、撃墜する気がない、の方が正しいか。やる気は一応あるみたいだから。
「ロイ、隙あり!」
チームメイトのことを考えているときに、マルスがロイの頭上から剣を振り下ろしてきていた。
げ、と思ったとき――、ふと、前にガノンドロフに教えられたその場緊急回避を思い出す。
「よっ…」
「あっ!!」
ロイが回避すると、マルスは着地をキャンセルするのに失敗し隙を作ってしまった。
これだけ近い位置にいれば、ロイの剣の強さはそれなりになる。
撃墜できるかっ…未だ硬直中のマルスに剣を振り下ろそうとした時、封印の剣は爆発音と共に強い衝撃によってはじき返されてしまった。
「わっ!…な、なんだ!?」
ロイが戸惑っている間に体制を整えたマルスは、しかしロイのほうは向かず、違う所を見ていた。
マルスの視線に気付き、ロイも視線をそちらに移すと…
ずっと遠くに、赤いメットを被った女性が立っていた。
(さっきの爆発は…ミサイル?でも、こんな距離であんな丁度いい位置に…?)
ロイがそう考えているうちに、サムスは二人の方へとミサイルを放つ。
仲間には攻撃は当たらないため、ロイめがけてやってくるミサイルにどう対処すれば良いか戸惑っていたが、近くにマルスがいることを思い出し閃いた。
マルスはロイが逃げないようにするためか掴みかかろうとする。
マルスの手を避け、ミサイルが来るタイミングを合わせロイはあるポーズを取った。
「今だっ!」
しまった、と思った瞬間にはマルスは既に吹っ飛ばされていた。
パーセントが多く、かなり吹っ飛んでいる様子のマルスのほうを見ていたロイを、急に何かが引っ張った。
「わっ!?」
ずぃーっと引っ張られて来た場所はサムスの目の前。
そういえば…サムスの投げは遠距離だったんだ、と考えているうちにロイは地面に叩きつけられ、バウンドしてサムスの目前に倒れた。
体勢を立て直すよりも早く、サムスがスマッシュをためる動作をする。
このパーセントでスマッシュを食らったら撃墜されかねない、とロイが半分諦めかけた時…ステージにとある音が響いた。

Time Up!

その音が聞こえると、サムスはスマッシュの溜めをぴたりと止めた。
そして、おもむろに自分のメットを外し始める。
ロイの目の前で、赤いメットから放たれた短い金髪がさらりと風になびいた。
「ふぅ…ずいぶん長期戦になってたわね。結構疲れちゃったわ」
そうは言っているが、見たところあまり疲れているようには見えなかった。
運動後で熱を持っているためか、頬がいつもより赤い。
座った状態のままそんなサムスを見ていたロイは、自分の胸がいつもより早く鳴っていることに気が付いた。
「…どうかした?」
自分をずっと見ているロイに不思議がってサムスが聞く。
ハッと思い出してロイはあわてて立ち上がった。
(な…なんだろ?…この…)
自分の今の表情が気になってロイが顔に手を添えると、妙に熱い気がした。

(なんか…妙なんだよなぁ…)
二連続で乱闘に参加するのもなんだかなと言う事で、ロイは乱闘中のステージをボーっと見ていた。
見ている事は見ているが、考えているのは先ほどの試合の事らしい。
「ロイ、結構強くなってきたね」
不意に隣からそんな声が聞こえた。隣にはロイと同じように乱闘を見ているマルスがいる。
なんだか自分がさっき考えていた事は教えたくない事のような気がしたので、ロイは考えを中断し当たり障りのない返事をした。
「ハーフムーンを避けられた時は撃墜されるかと思ったよ。あの時、サムスがミサイルを撃ってくれたおかげで平気だったけど」
『サムス』という単語が出た瞬間についロイはマルスのほうを見てしまった。
それがあまりにも分かりやすい仕草だったため、マルスは一体何かと思案を巡らす。
「あれって、やっぱりミサイルだったのか!?」
ロイの剣を振り下ろす筋に、タイミングも合わせてあんなに離れた所から当てる。
サムスの先ほどの行動を考えて、なんて凄いんだとロイは感心した。
「…彼女、強いよね」
マルスはその『彼女』を詳しく指定せずに呟いた。
そんな言葉に、ロイはサムスのことを考えていた事がばれたような気がして途惑う。
「彼女って…」
「サムスの事、考えていたんだろう?」
ロイはマルスの顔が余裕のある表情であることに嫌な気持ちを覚えた。
自分の考えている事が全て見透かされているようで――不安になったロイに、マルスは不思議がることもなく続けた。
「彼女、昔は一人で戦っていたそうだしね。…一人で何が起こるか分からない世界に、か…僕には出来そうもないな」
そういえばそうだったな、とロイも記憶を辿っていく。
考えを巡らせているうちにマルスはもう一言付け加えた。
「まぁ、ロイが『尊敬』しても変じゃないね」
――え?
ロイは、一瞬マルスが何を言っていたのか理解できなかった。
驚いたような表情をしているロイに、今度はマルスが驚く。
「あれ?僕はてっきり君がサムスの事を尊敬しているのかと思ったんだけど…違ったのかい?」
途惑うマルスの顔を見ながら、ロイは安堵のため息をこぼした。
なんだ…よかった。この気持ちの事に気付いていたわけじゃなかったのか。
さらに不思議そうにするマルスに、ロイはイタズラをする時のように不敵な笑みを浮かべ、『何でもねぇよ』と言い捨てた。
「……??」
頭にクエスチョンマークをつけているマルスを放って歩き出しているロイの表情は何故か凄く嬉しそうだったそうな。



どう考えても支援者がいなそうなカプですねぇ。(爆
封印のロイとは色々と違いますが、こんな感じはどうかなぁとも思ったり。
結構お気に入りな作品ですー。続き書くかも…(何

平成15年10月18日UP


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最終更新:18:03 2006/07/09




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