酒と泪とオトコとオンナ<小説:スマブラTOP
酒と泪とオトコとオンナ
最初は遊びでカラオケにいっただけのはずだった。
いつの間にかそれは酒飲み大会になって、ほとんどの者が酔い潰れている。
そして…




酒に酔ったリンクは、急にゼルダの方を向いていつもより強い声で言った。
「ゼルダ姫も、…飲みましょう」
自分が恋心を持っている者からこんなことを言われれば、さすがにゼルダも驚く。
酔うのはイヤだけども、ここまで皆が酔っていればゼルダが酔ってもいまさら何も変わらない。
決心をして、貴女の分ですと言わんばかりに差し出されたコップを手に取った。
「意外とおいしいですよ」
上手く口が回っていないリンクに背を押されるように、ゼルダはコップいっぱいの酒を口に流し込んだ。
急に、感じたことのない不思議な感覚を覚える。
「お、ゼルダも飲んだのかぁ。ロイはもぅ酔い潰れちゃったしなぁ」
離れたところから唐突にそんな声をかけたのは、マルスだ。
この男、酒に酔うといつもとは打って変わって陽気な男になる。
かたくなに拒否し続けていたロイに酒を沢山飲ませ、酔い潰れさせたのもこいつの仕業だった。
「…あれ…?」
一杯の酒を飲んで、今まで何事もなかったゼルダは急に軽い眩暈のようなものを感じた。
ふらついていると、偶然にもリンクの方に倒れる。
「…ゼルダ姫……」
リンクの目には、ゼルダは今まで見たこともないような真っ赤な顔が見えただろう。
さすがに一国の王女とはいえまだ十五歳の少女。
抵抗のない身体にはマルスやリンクが全然大丈夫な酒一杯でもダウンだった。
「お、熱いねぇ」
二人の状態を見て、からかうようにマルスが言う。
ゼルダは予想通りに怒るような様子をしていたが、リンクの方は何故かそんな様子を見れなかった。
「だって僕は…ゼルダ姫のこと…………ですし…」
最後に何か言ったようだったが、声が小さく寄りかかっているゼルダにも何を言ったか分からなかった。
「…?…何、何か言った…?」
言葉の続きが気になり、ゼルダは息がかかるぐらい近くにいる男に聞き返す。
だがリンクは何もしゃべらず、急にゼルダの顔を自分の顔の前に持ってきた。
「えっ…」
ゼルダは何かしゃべろうとしたのだろうが、急に口を塞がれて喋ることは出来なかった。
しかもリンクの唇で。
「…リンク、大胆だねぇ」
いくら酒を飲んでも酔い潰れない男が横から口を出した。
他にもこの場所にはスマキャラのほとんどの者がいる(大部分は酔っ払っているが)というのに、リンクはいつまでも口を離そうとしない。
「…んっ…」
ゼルダは、どうすればいいか分からず困ったような様子だ。
本心では嬉しいのだろうが、ここには他にも沢山の者がいるので恥ずかしい。
何か行動をとろうか迷っていると、やっとリンクはキスを止めた。
「……ゼルダ姫は、…僕のことどう…思ってるんですか…?」
さすがにかなり酒が回ってきたのか、途切れ途切れになりながらリンクが言う。
本当に人は酒を飲むと何をするか分からない。
口を離してもまだ息がかかるぐらいの距離にしかなっていないリンクにゼルダはふとそう思った。
「お、カラオケボックスで告白かぃ?」
今がリンクと二人きりならこの質問に答えるのも簡単なのだろうが、マルスが興味津々でこちらを見ていたら恥ずかしくて答えようがない。
何を答えようか迷っていると、また酒が回ってきたようで急にゼルダは意識が遠くなった。
「…ゼルダ姫って、意外と酒に弱いんですね…」
その言葉を最後に、ゼルダの耳には何の音も聞こえなくなった。
身体を触られているような感覚だけはまだ残っている。
リンクが何をしているのか、ゼルダにはそれ以上知ることは出来なかった。

翌朝。
頭痛が激しく頭を押さえているゼルダが広間に入ると、ほとんどの者が同じような様子をしているのが分かった。
マルスなど、見ているだけでこちらも気分が悪くなりそうだ。
「あ、ゼルダ姫。お早うございます」
昨日酔って暴れまわっていた者はほとんど悪酔いしていると言うのに、この男だけは全くそんな様子を見せなかった。
というか…見事に、いつも通りなのである。
「ぉはよぅ…リンク、ずいぶん元気ね…昨日あんなに飲んでたのに」
そう答えると、リンクは驚いたような素振りをした。
どうやら、カラオケボックスに行ってからの記憶が全く無いと言うのである。
「…僕、何か…可笑しいことでもしていました…?」
やはり記憶がないことについては、誰でもそんな態度になってしまうのだろう。
言葉では伝えにくいので(何よりも自分からは言えないので)、別に何も無かったとゼルダは答えた。
(この調子だとマルスも多分覚えていないかな…。)
と少し希望を持っていると、ちょうどその時広間にある少年が入ってくる。
「きのーは楽しかったー!!写真撮っておいて良かったぜ!」
それは昨日は早く酔い潰れたはずの赤毛の少年、ロイだった。
ゼルダが何か嫌な予感を覚え、ロイに写真とは何か聞こうとする。
が。
「あ、ゼルダ…それにリンクも。…怒るなよ?」
そのロイのいけないことをした、とでも言うような言葉にゼルダは固まった。
「ぃやぁ…偶然カメラ持ってたから、あんな大スクープ撮らなきゃいけないなと思って…」
この様子。
ゼルダの考えていることと、ロイの撮った写真はいうまでもなく同じだった。
「…なっ…ロイは酔い潰れたってマルスが言ってたわよ…」
必死で怒りと恥ずかしさを押さえ、ゼルダはそう質問する。
マルスの方はゼルダの予想が当たり記憶が無いようだったのだが。
「ん、途中寝ちまったんだけどな。ガノンが『面白い物がある』って起こしてくれたんだ♪」
ロイはまるで新しいおもちゃを買ってもらった子供のように笑顔だった。
向き合っているゼルダの方は、我慢の限界だと言わんばかりの表情。
「…ん、気にすんなって。俺とガノンとマルス(つっても覚えてないと思うけど)しか見てなかったからな」
「でも写真…撮ったんでしょ…」
「あぁ、それも俺ぐらいしか見ねぇから平気だよ。アルバムに入れるだけ」
ロイがその言葉を言った途端、ロイの目の前にゼルダの正拳が飛んだ。当たり前のようだがとっさにロイは避ける。
その後、いつものパターンのように逃げる準備をしているのが見えた。
「んじゃ、俺は…」
リンクやゼルダに何か言われる前にとロイは急いで部屋を出ようと別れの挨拶をする。
その日は、珍しくロイを一日中追いかける人物はピーチやマルスではなかった。

「ロイーー!!!」

「…?ゼルダ姫、昨日何かあったんでしょうかね…?」
行動の張本人は当たり前だが全くわかっていない。
そして、さりげなくロイのスクープアルバムは彼の写真がほとんどだということは知る由も無かった。



恋愛的なネタも思いついたりするんですよね〜。
未成年が酒を沢山飲んでて、カラオケの店の人は何も言わないんでしょうかね〜?
リンゼル…両思いなくせになんかずれてるってのが私的理想(爆

平成15年6月14日UP


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最終更新:11:09 2005/07/31




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