王子の華麗なる(?)一日<小説:スマブラTOP
王子の華麗なる(?)一日
とある天気のいい朝だった。
鳥の鳴き声も良く聞こえるほどの時間に、ある部屋の目覚まし時計が鳴る。

ピピピピピピピピピピピピ…カチ。

さしてあわてる様子でもなく目覚まし時計を止めた藍色の髪のその青年は、布団の中で時間を確認した。
「…朝か…。」
6時だし、もう起きようかとマルスが上体を持ち上げたその時…。

ボッガーンッ

普通の朝には聞かない大きな爆発音がした。
そして次の瞬間にマルスが見たのは、ガレキと化した部屋の一角。
何が原因なのか知るのは全くもって容易だった。
「…ケホッ…ロイ兄ちゃん、だからバクダン花で花かんむりなんて無理だって言ったのに…。」
「カービィがくしゃみなんてするからだっての…。」
「だってはっぱがくすぐったかったんだもん…。」
そこには、二つの人影と一つの真っ黒に染まった丸。
まるでMr.ゲーム&ウォッチをコピーしたときのようだった。
マルスは自分に気づいた三人に極上の笑顔で質問した。
「…何をしているんだい、三人とも…。」
その表情と言葉に隠された感情に気がつき、子供リンクとロイは凍りつく。
「あ、マルスー。おはよー♪今バクダン花で花かんむり作ろうとしてたん」
何も気づかず正直にマルスの質問に答えているカービィにロイの拳骨が落ちた。
急に痛みが走った頭を抑えながらカービィは疑問の目をロイに向けている。

「明日まで全ての壁を直しておきなよ」

笑顔で、いつもと変わらぬ言葉遣いで放たれたその言葉には、心の芯まで凍らせるほどの力があったそうな。

いつの間にか朝食後。
人よりすこし少ないいつもの量の食事を取り終え、のんびりしていたマルスの元へアイクラたちがやってきた。
「ねぇマルス、暇ならかくれんぼしない?」
「出来るだけ人が多い方がいいから…駄目かな?」
話によると屋敷を中心に半径500mが範囲らしく、人数が少ないとかなり見つけるのが困難らしい。
『だったら範囲を狭くすればいいのでは』と思いつつも今日することはなかったのでこう返事をした。
「まぁ、構わないよ。…ちなみに他には誰がいるんだい?」

参加することになった全員はまだ集まっていない時に、マルスはとある人物を見つけた。
「ロイ、どうしてこんなところにいるんだい?」
ロイがマルスの表情を見てまた恐れたのは言うまでもない。
朝の事件ではカービィや子供リンクも一緒にいたのだが、主犯はコイツだということは容易に推測できる。
その言葉に対する返事はとてもぎこちない様子だった。
「あ、平気平気!カービィの友達でそういうの一発で直せるヤツがいるって話だから!
 今日は絵の具がないから無理だって話だったけど、明日の昼ごろには直せるってよ!」
その理由はロイもイマイチ良く分かっていない様子だったが、カービィがそう言っていたのでそのまま伝えたのである。
「明日のお昼頃…?じゃあ、今日は何処で寝ろと言うんだ?」
この質問にもロイは返事を用意していたようだった。
「んー、他にも部屋が壊れちまったヤツもいるから、一緒に広間で…だと思う…。」
まだマルスから怒られてしまうかと不安がっていたのが見えたようで、いい加減にマルスは怒った様子をやめた。
「全く。君にはいつも驚かされるよ。」
口調が元に戻ったことにロイは安心のため息をつく。
「ははは、まぁ暇がありすぎるよりはいいだろ!」
急にいつもの感じに戻り、他の者たちと遊び始めていた。

「さぁて!結構集まったみたいだから鬼決めるよ〜!」
沢山集まったこの場で、子供リンクが大声で言う。
この様子がいつもの遊びの風景なのかとマルスは呆然と見ていた。
まとまりがないというか、落ち着きがないというか…まだ始まってもいないのにほぼ全員がとても楽しそうにしているのである。
ジャンケンで鬼を決める、と言う話だったので、マルスも勿論手を出した。
「…あ。」
数回あいこが続いたのち、偶然にマルス以外の全員がグーを出していた。
数人の視線が一人だけチョキを出した人物に移る。
「あっ、マルス兄ちゃんが鬼だねー!けっこー範囲広いから頑張ってね♪探すのは30数えてからだよ!」
分かりきっているルールをもう一度確認してから、マルスは仕方なしに目を閉じて数え始めた。
「よぉーし!どこに隠れよーかな♪公園にしようかなっ♪」
「カービィ、そんな風に喋ってるとどこに行こうとしてるかバレるでしょっ!」
「とか言っても、こっちは公園のある方向とは反対なんだけど…。」
初めはそんな声が聞こえていたが、しばらくすると静かになった。
声に出してはいなかったが30数え終わったので、マルスはとりあえず周りを見回す。
参加者は頭に入れていたので近くから探していった。

「あ、マルスー♪お昼ご飯の時間だから中断だよぉっ!」
いつも昼食を取る時間より少し早い時間に、もう発見されてしまって暇そうにしていたカービィが叫んだ。
こういった遊びを午前中から始めていた場合は昼食時だけ中断となるのである。
この時間に発見しても発見したことにはならない、という事だった。
「あ、そうか。…結構見つからないものだね…。」
大人数で広範囲でのかくれんぼなので、鬼が変わらないことも珍しくはないようだ。
4・5時間探し続けていたと言うのにまだ半分も見つかっていないことからもそれは容易に推測できた。
「ほらほらっ、お昼ごはん食べに行こって!オニが一緒じゃないとボクら行けないんだからさ!」
カービィの食い意地は言うまでもなく、それを止めるすべを持つ者は多分この場にはいなかっただろう。

「…で…。」
時間が経つのは早いものである。
マルスが隠れている者を探すのも辺りが暗くなってきたため辛くなっていた。
もっとも、とあるキャラは元から黒いので暗くなってもたいした違いはないのだが。
「彼は…一体何処にいるんだ…?」
かくれんぼも終わりに近づいているようである。
だが…、最後の一人が見つからないのだ。

「Mr.ゲーム&ウォッチって、何処にいるんだっ!?」

全身真っ黒な上に平面。何処にでも隠れられる。
他に比べて見つかりにくいのは容易に想像できた。
そんなマルスの苦労を裏切るかのように、いつも遊んでいる者たちはあっさりとこう言う。
「ミスターって、けっこういつも同じ場所に隠れるよねー。」
「うんうんー。何回かやってれば分かるようになるよー。」
アイクラがそう呟いているのを横で聞きながら、マルスは深いため息をつく。
かくれんぼに限らず、ほとんどの遊びは夕食時に終了するのである。
今回は『一度もオニが変わらなかったら罰ゲームあり』という条件もあったので、流石に見つけられないのは嫌だなと考えていたようだ。
というか、普通に考えて鬼が変わらないまま終わるのは嫌である。
「何回かやってればって…初めてのヤツにそんなことを言っても…。」
そんな風に呟いていると、突然リンクの声がした。
この場合のリンクの声と言えば、何なのかはすぐに分かるだろう。

「皆さん、夕食の時間ですよー。」

その声は、怒鳴られるよりもマルスにとって酷だったような。

夕食も過ぎ、部屋の壊れた者たちは広間に集まっていた。
本当は部屋が壊れた者だけでいいはずなのだが、人が沢山集まっている所には行きたくなるという性格の者もここにいたりする。
「ねぇねぇ、で結局ミスターは何処にいたの?」
「(何処にって…屋敷の庭の細い木の間。)」
「やっぱりミスターは屋敷の近くに隠れるよね〜。」
ちなみに…今日の罰ゲームはかくれんぼ参加者全員にお菓子400円相当。
参加していない者には与えられないので、広間の一角ではお菓子の取り合いも始まっていた。
「マルス〜。惜しかったなぁ、あと一人だったのに〜。」
呆れた様子で周りの騒ぎを見ていたマルスにロイが呟いた。
ロイもさっき買ってもらったお菓子の一つ…真っ赤な袋のカラ○ーチョらしき物を食べている。
「ロイ…君、僕が全員見つけられないって確信してただろ。」
その表情を見て思ったことをそのまま言った。
言われてロイは結局あまり表情を変えずに『あ、やっぱ分かる?』と冗談のように反応する。
「ま、いっつも貴族っぽく偉そうにしてないでこういう風に遊ぶのもいいだろ!」
「…って、君も貴族だろうに…。」
目の前の、元はマルスと同じ喋り方をしていた者に対し呆れたように呟き、一呼吸して周りを見回した。
「…まぁ、…確かにそうかもしれないね…。」
こうして、王子の華麗なる一日は、全く華麗ではなく過ぎていったそうな。



なんか全然リクエストに合わないような…(爆
結局正反対っぽくしちゃってスイマセン;
今更ですがえりある様、500Hit&リク有難うございました♪

平成15年8月26日UP


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最終更新:18:10 2006/07/09




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