どうしてそんなに何でも屋?<小説:スマブラTOP
どうしてそんなに何でも屋?
「そういえばさー」
居間でのんびりしていたロイは、自分のほうを見ながらそう呟くナナに気がついた。
唐突なナナに、ポポもどことなく不思議そうな顔をしている。
「ロイ君って料理、上手いよねー」
本人を見ながらのナナの言葉に、本人は疑問を残しながら返事をする。
「? …ああ」
「こないだやぶけたマント、自分で縫い直してたよねー」
「え?」
ナナの言葉に珍しくポポが驚く。だが、ロイは先ほどと同じ答えを返す。
「ああ」
「嘘!?だって全然そんな風には見えないよ!?」
ポポがロイのマントを覗き込むように見ながら言う。ロイは鼻で笑ってからそれにも答えた。
「縫い直したんだから、当然だろ?」
「あ…」
ロイの言葉に納得したのかしてないのか微妙な返事をするポポを無視して、ナナは続けた。
「ロイ君が食料買ってくる時って、いつもと大して変わらない出費のはずなのにいつも何かオマケ買ってくるよね」
「まあな……って、そんなトコまで見てたのかよお前」
そのロイのつっこみに、先ほどから会話には入っていなかったが ずっとこの場にいたネスがくすっと笑った。
ナナはバン、とテーブルにうるさく手を乗せる。
「何でロイ君はそんなに何でも出来るのよ!?」
ナナは大声で言ったのだが…相手は当然のようにあっさりと返した。
「そりゃあ、幼いころに色々やってたからな」
そのセリフに、アイクラの二人は同時に『え?』と応えた。
「くす。ねえロイ君、昔話してよ」
ネスが言った言葉にロイは『は?』と疑問に思う。だが、次の瞬間どういう意味なのか理解した。
「ロイ君が幼いころ何してたのか、とか」
ロイは不満そうな顔を見せる。面倒だ、とその顔が十分に物語っていたが ネスはくいくい、とナナを指差した。
いつの間にやら、ナナはハンマーを構えている。
「説明しなきゃ、彼女は納得しなそうだよ」
それを見て、ロイはため息をついた。
「へいへい。分かったから、くい打ちのポーズで止まってるのはやめてくれ」
ナナは横スマッシュのときの溜めポーズをしている。
ポポとネスは無言で笑った。



「説明って言ってもなあ…。幼いころ、授業で習った。それだけだぜ?」
一言で終えるようなそのセリフに、ポポは呆れてまぬけな声を出してしまった。
「って、それじゃ説明になってない!!」
怒るナナにロイは苦笑する。『って言われてもなあ』と笑っているロイをネスが促した。
「領主になるはずのロイ君が料理や裁縫を習う必要は無いよね?」
「! そう、それは何でできるの!?」
ナナが一歩身を乗り出して聞く。ロイは思い出したような素振りを見せてからどう言おうか言葉を探した。
「そうだな……。そういうのはリリーナのおかげかな」
女性らしき名前が出たことには、ナナは別の意味でも反応した。
「リリーナって?」
「俺の幼馴染」
「ってことは、教えてもらったの?」
ナナの質問に返したロイに、次はポポが聞いた。だが、ロイは ははは、と苦笑する。
「だったら面白いんだろーけどな」
「「違うの!?」」
アイクラは同時に反応した。ネスは相変わらず笑ったままだ。
「俺、昔っから結構 負けず嫌いだったんだよなぁ…」



 「ねえ、ロイ。これ、みて!」
 「わあ…。お花のもようがついてる!かわいいね♪」
 「これね、私がぬいつけたんだよ〜。ほんとはただのハンカチだったんだもん」
 「えーっ、ホントにー!?すごおい、リリーナ!」
 「お母さまに『おさいほう』、教えてもらったの♪」
 「『おさいほう』?」
 「ええ。はりと いとでね、いっぽんいっぽんぬいつけていったの」
 「へえ…ぼくもやってみたい!」
 「ロイはおとこの子だから、おぼえなくてもいいのよ?」
 「でも、ぼくもできるようになりたい!」
 「じゃあ…おりょうりもやってみたいって思うの?」
 「おりょうり…リリーナはできるの?」
 「まだちょっとしっぱいしたりはするけれど、できるよ」
 「じゃあぼくもやりたい!」
 「ロイってなんでもやりたがるのね」
 「うん。なんでもできるようになりたいもん!」
 「じゃあさ、ロイもお母さまに教えてもらったら?」
 「ははうえに?」
 「教えてほしいって言えば、きっと教えてもらえるよ」
 「じゃあ、競争だね。ぼく次に会うときまでリリーナより上手になってやるんだから!」
 「えー、きょうそう?」
 「うん、競争だ!」




「リリーナが裁縫や料理を出来るのが悔しいって思って、俺も母上に習ったんだよ」
そう説明するロイの顔を見ていたアイスクライマーの二人は、呆れたような驚いたような表情をしていた。
「…確かに負けず嫌いだねぇ…」
「性別のこととか考えなかったの?」
「まあ、俺もガキだったしな」
はは、と軽い笑いをするロイに、今度はネスが後ろから声をかけた。
「で、教えてもらったんだよね?」
「ああ、まあな。頼んだら、教えてもらえるって事にはなったけど…」
「けど?」
「母上が厳しくてな、『やるんだったら教えられるくらいまで上手くなれ』って」
その言葉にナナが『え!?』と大声で反応する。
「男のロイ君でも!?」
「ああ、当然」
至極あっさり言うロイに、ネスがまたくすりと笑った。
「ロイ君のとこだと、パパよりママのほうが厳しいんだね」
「厳しいっつうかな…。父上はよく母上に『硬すぎる』って言ってたな」
「そうみたいだねえ」
ロイの考えていることを読んでいるのだろうか、ネスが先ほどから笑い続けている。
ポポもナナも微妙な表情をしているのに気づいて、ネスが言った。
「ロイ君が頑張って裁縫習ってるとき、失敗して自分の指に刺しちゃってもロイ君のママは何もしてくれないんだね」
「ネス…そういうことばっか言うなよ…。まぁ、確かに母上は何も助けてはくれなかったけど」
ナナは驚いた調子で言った。ポポもそれに応える。
「やっぱり厳しいんじゃん!」
「たしかに…」
そんな様子で言われていても、ロイはやはりあっさりしていた。
「そういや、料理はウォルトも関係してくるかもな」
「え?」
ウォルトとは、ロイの乳兄弟らしい。彼の母がロイを育てたという乳母である。
「ウォルトの両親が両方とも料理上手で、当然っつーか親譲りでウォルトも上手くて」
そこまで言うと、アイクラの二人にも理由は十分に分かる。
「で、負けたくなかった、と」
「分っかりやす〜い♪」
笑いながらのナナの言葉に、ロイは今は苦笑するだけで何の反応も起こさなかった。
ネスがロイのとなりに座る。
「じゃあ、きっかけは色々あるけど結局はママに教えてもらったんだー」
「ああ。時間にも厳しかったから、あの頃から時間配分だけは得意になってたな」
昔を思い出しているのだろう、今のロイは普段とは違い、いくらか落ち着いた表情である。
「ま、結局、なんだかんだ言っても優しかったけど。俺が落ち込んでたとき、馬に乗せて色々な景色を見せてくれたこともあったし」
そのロイの言葉に、ふとポポは疑問を感じる。
「ロイ君のお母さん、馬に乗るの?」
「そういえば。騎士って男ばかりだと思ってたけど」
ロイはアイクラの二人がいるほうを向き『普通の馬は男ばっかだけど』と答えた。
「ペガサスは女性しか乗れないからな」
「「ペガサス!?」」
全く同じ反応をするポポとナナ。しかしその顔は、ナナはただ驚いただけだがポポは信じられないという様子。
ロイは二人の様子を見て少し驚きながらこう言った。
「白くて、羽根が生えてて、空を飛べる馬。知らねーか?」
「いや、知ってたけど…ロイ君のところにはいたんだ、ペガサスって」
「じゃあ何、普通の馬に乗るのは男だけどペガサスに乗るのは女だけなの?」
ネスがまたくすっと笑った。
「ああ。ペガサスに乗って戦う騎士をペガサスナイトって言ってな、母上はある傭兵部隊の隊長だったって言ってた」
「へえ〜」「ふーん…」
同時に相槌を打つアイクラの二人。ネスは無言で笑ってから、ロイにいきなりこんな質問をした。
「ちなみに、ロイ君のママの名前は?」
「フィオーラ…って、なんで名前なんて聞くんだよ」
「ん、ちょっと確認のためにね」
ただ笑ってそう答えるネスに、他の三人は疑問を浮かべるしかなかった。

「あっ、そういえば!さっき女の人の名前出したよね!?」
会話が終わったと思い、ロイが席を立とうとしたときナナは急に言った。
「へ?…ああ、リリーナの事か?」
「うん、その人!ねえもしかしてさあ…」
ポポはナナが何を言おうとしているのかが分かり、『また始まったかな』と呆れ顔をした。
「その人って、ロイ君の彼女!?
楽しそうにそう聞いてくるナナに、ロイは…しごく平然と答えた。
「いや…。ってか、いとこだよアイツは」
「…はえ?……なぁーんだぁ……」
思いっきり残念そうな顔をするナナに、ポポは呆れ、ネスは笑った。
「でもさ、確か、いとこ同士でも結婚って許されてるんだよね?」
「知らねぇよ、んなこと」
少し顔を赤くしてそう答えるロイに、ネスはもう一度笑った。



ちなみにこの時点でフィオーラ(@烈火の剣)は亡くなってます。だから思い出すロイの顔が何だか淋しげ…のつもり(汗
屋敷に来ているロイの母は烈火の時にフィオーラになってた、という話。ちなみにリリーナの母はフロリーナ。
でもこれ、スマブラとFE封印とFE烈火の三つが分からないとイマイチ話が分かりませんよね(汗
ちなみにリリーナはロイに好意を抱いてるとは思いますがロイはリリーナに対しては特になしで。
あくまでいとこ、と考えてます。ロイリリ好きな方ゴメンナサイ(笑

平成16年6月6日UP


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最終更新:18:09 2006/07/09




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