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ホワイトデーSS



凌統はこの所、一人の女を目で追うのが癖になっている。

目線の先の彼女は春の日差しみたいな笑顔で数人の男と話をしていた。

そんな顔して笑われたら男はみんな勘違いでもしてしまうのではないかと思う。

現に、彼女の周りの男は皆一様に彼女にいい所を見せようと、自分の自慢話ばかりしている。

彼女は彼女で律儀に相槌を打ったりして聞き上手なものだから、話す方は気分がいいわけだ。





―聞いてるこっちは気分悪いけど





凌統は少々不貞腐れ気味に頬杖をついて溜息を漏らした。

彼女が勘違い男の勘違い自慢話を耳にしたところで、

肝心の彼女の心が変わるわけじゃないことはよく分かっている。

でも。

誰にでも優しい彼女は嫌いじゃないし、いやむしろそんな所が好きでもあるのだけれど。

出来れば他の男にはあんな風に笑わないで欲しいし、

恋人である自分とそれ以外の男、少しは分け隔ててくれたっていいのに。

だが実はそう思っているのは自分だけで。

もしかしたら自分も勘違い男の一人なのかもしれないという疑問が、再び凌統の頭を占領する。





    あんたのその「好き」っていうのさ、他のヤツに対するのとは違うよね?

    違いますよ!他の方のことは男性として想ってはいませんから・・・

    それ信じていいの?

    当たり前です!





彼女の言葉を素直に受け止めれば何の問題も無いはずだが、

相変わらずあんな可愛らしい笑顔を振りまいている彼女を見ると、柄にも無く自信を失いかける。



「今更また本人に確認ってのもなぁ・・・」

「確認に早いも遅いも無いですよ?」



冷やかすような声が背後でしたので凌統はますます気が滅入る。



「・・・・・・・・・・・」

「ついでに言えば、大事なことは何度でも確認した方がいいですよ?」

「あんたねぇ」

「はいはい、余計なお世話ですよね」



そう言いつつ少しも悪びれた様子は見せず、陸遜はぺろりと舌を出した。



「なんか用?」

「いえ、休憩でもしようと思って庭へ来てみたら、何やら酷く沈んだ様子の凌統殿がいらしたので」



酷く沈んだ様子の、と言う所だけわざと強調してくれる、この小憎たらしい軍師(まだ下っ端)。

コイツは毎日毎日、綺麗過ぎる粋人と無精髭のおっさんの極端なふたりの間に挟まれて、

陰気な部屋で軍議ばっかりしているから女のことなんか何にも分かっちゃいないはずだ。



「つまり用は無いんだな」

「用は無いんですが興味が湧きました」

「男に興味持つなっつの」

「女性関係で悩む凌統殿というのも珍しいですからね」

「ああいえばこういうヤツだなあんた・・・」

「言っておきますけど、わたしだって日がな一日軍議ばかりしているわけじゃありませんよ?」



陸遜は半ば挑発的な視線を凌統に投げつけた。



「じゃ聞いてやるよ。あんたならどうすんの?」

「ちょっと耳貸してください」



こそこそと陸遜に耳打ちされた内容に凌統は仰天した。

まさかこの若い軍師の口からそんな話が飛び出してくるとは予想だにしていなかったのだ。



「意外とやるねぇ・・・」

「彼女のような女性にはそれもありかと」



なるほど。なんとか突破口が開けそうだ。

凌統はこちらに気付いて手を振ってくる彼女に手を振り返しながらくすりと笑った。











「こんな所人に見られたら・・・」



「誰もいないって」



「でも」



「それとも誰かに見られちゃマズイわけ?」



彼女はちらりと空を見上げた。

上を向いた彼女の長い睫が淡い光に当たって瞼にくっきりと影を刻む。



「ほら・・・お月様が見てます・・・」



「大丈夫、お月さんは口堅いから」



再び二つの影が重なる。







夜、一緒に退出しようと彼女を誘って部屋を出たら、また他の男が馴れ馴れしく彼女に話し掛けてきて。



苛立った凌統はそのまま彼女の手を引いて会議室に忍び込んだ。

既に室内は真っ暗。ただふたりのいる窓際だけが、満月の月光を受けて仄かに明るかった。





        彼女がよそ見をするのなら、こちらしか見えなくなるようにしてしまえばいいのですよ





陸遜の言葉が頭の隅に浮かぶ。

それもそうだと思った。何故今までそんなことに気付かなかったのか不思議だった。



というわけで、これから遠慮はしない



抱きしめたままそう言ったら。

彼女は少し驚いて、きょとんと目を丸くした。







「あかいペディキュア」の三上ゆの様より、チョコのお返しという事で頂きましたv
陸遜にもチョコを送っていたことからか、彼も登場させてくれたので喜びです♪(爆
三上ゆの様、タダで貰っちゃってすみません(苦笑)。どうもありがとうございました☆

平成18年3月23日UP


三國無双

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最終更新:12:18 2006/06/27




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