どうしても気になる事。
「ねぇ、。お願いが……あるんだけど」 何か裏のありそうなのさわやかすぎる笑顔に、は顔をこわばらせた。 「」 そうして結局、がいるのは、の部屋のベッドの上。 自分の髪を触り続ける。 「……か?」 「うん」 即答した。 その相手の反応に気づいたようで、は意気込んで言う。 「だって、同じ髪のはずなのに前髪と後ろ髪の色が違うのよ?どうなってるのか、やっぱり気になるじゃん」 そう言われても……とは思った。 「の髪、どうなって?」 「え……? あ、そっか」 は鏡にも写真にも映らないから、自分の顔が分からないんだっけ……とは小さくため息をつく。 「ちょっと一本、髪抜くねっ!」 「っ?」 そう断ってからの後ろの方の茶色っぽい髪を引き抜いた。 一瞬、の表情が少しゆがむ。 「っ……」 「ほら、茶色い髪。前髪がいのは自分で分かるでしょ?」 そう言いながら、たった今抜いた一本の髪をの前まで持ってくる。 「に感心するは相手が納得したのを見てから、再び彼の髪に触り始めた。 「実際に見た事ある人で前髪と後ろの髪が違う色だなんて、以外にいないし」 「」 あぁ、とは苦笑した。 「あれは自分で染めて色を変えてるのよ。みたいに地毛じゃないの」 「そうなか?」 「うん」 そう言った後、色がはっきり変化している所を見つけて、はわぁっと嬉しそうな声を上げた。 「根元からはっきり違ってるんだー。面白ーい」 は楽しそうでも、その相手はやはり髪を触られて嬉しくはないのだろう、微妙な表情である。 やがて」 「えー、もう少しー」 は相手の様子など全く気にも留めず、あっさりそう応える。 。 それから少しして、やっと満足したのかは髪を触っていた手を離した。 はー、と満足げに大きく息をついてから、もう一度彼の頭を見る。 は少し疲れた様子でため息をついていた。 「の髪って言えば、もう一つ不思議な事があるのよねー」 そのの言葉に、。 「まだ、何かあるか……?」 「うん。えーっとねぇ……」 そう言い、座るの頭の上を見ようとは膝立ちの状態になった。 前髪と後ろ髪の境目辺りに手を伸ばす。 「なぜか分かんないんだけど、の髪、一本だけピョコッと上にはねてるの」 「?」 「ほら、これ」 と言いながら、の、触覚のように一本だけ逆立っているその色の髪に触れた。 だが、触られても実感が湧かないのだろう、は変わらず微妙な表情のまま。 はその様子を見て、どうしようかとほんの少し考え、こう言った。 「自分で触ってみなよ! 多分、すぐに分かるから」 そう言われ、は右手を頭の上あたりに動かした。やがて、その手に触れるものを見つけ、少し引っ張ったりして、自分の髪であることを確かめる。 ふとはあることを思いつく。 「絵に描いて説明すればい――」 ベッドのそばの、机の上にあるノートを取ろうとして、振り向きながら喋っていた言葉は、『いっか』と言い終える前に不意の事故によって遮られた。 膝立ちのまま振り向こうとしたので、バランスが崩れたのである。 「きゃっ!」「わっ…」 次の瞬間、彼女はうつぶせのような体勢になっていた。 元からベッドの上にいたため、倒れこんでも身体を痛めたりはしないらしい。 驚いて閉じていた目を少し遅れて開くと、の視界にまず入ったのは、男性の服だった。 正確に言えば、の胸元あたり。 「……れ?」 「 ゲーム会社がどう考えてたのかは知りませんが、私は地毛だと思います。 というか地毛であってほしいです(何)。 本当に、双子の髪型は特徴的ですよねぇ(笑 平成17年1月14日UP |